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カテゴリ:自然科学一般(25/31)

浸透圧と凝固点降下、及び蒸気圧降下の物理化学と神経興奮の物理化学 : 清沢桂太郎 | 学術研究出版





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タイトル: 浸透圧と凝固点降下、及び蒸気圧降下の物理化学と神経興奮の物理化学

著者: 清沢桂太郎  書店: 学術研究出版 

カテゴリー: 自然科学一般
ページ数: 174
サイズ: A5

特記: ISBN:978-4911449080

書籍形式








 


本の要約

私はこれまで、細胞膜で発生する浸透圧と、神経細胞で見られる興奮現象を中心に解説した書籍を2冊出版してきました。本書では、そのうち半透膜である細胞膜で発生する浸透圧の発生機序について、化学熱力学と細胞膜の分子論的な構造に基づいて、どの類書よりも詳しく論じております。水溶液の浸透圧は、その水溶液の凝固点降下と蒸気圧降下から求められます。本書では、浸透圧と凝固点降下と蒸気圧降下の3者の関係をどの類書よりも詳しく論じております。これら3者はBoltzmannの統計力学エントロピーを基礎にした化学熱力学的な理論によって、統一的に説明できます。その一方で、この自然界には陽子の数は同じですが中性子の数が異なる同位体と呼ばれる分子が存在します。この同位体を混合しますと、その凝固点は変化します。この凝固点が変化するという現象は、凝固点降下に似ておりますが、凝固点降下はBoltzmannの式で説明できますが、Boltzmannの式では説明できなくて、何か未知の理論の存在をうかがわせます。現在は、脳の生理学の研究の時代と言われております。この脳の生理学の研究の基礎は、神経細胞の興奮のメカニズムの研究です。この神経細胞の興奮に関する研究にHodgkin and Huxley (1952)の研究があって、1963年にノーベル賞を受賞しました。ところが、その後の研究ではHodgkin and Huxley (1952)の理論では説明できない現象が次々と発見されてきました。本書では、Hodgkin and Huxley (1952)の理論では説明できない新しい発見について、どの類書よりも詳しく論じております。

著者のプロフィール

私は大阪大学理学部生物学科で生物学を学び、大阪大学大学院理学研究科生理コースで、細胞膜の水透過性に関する研究で理学博士号を頂きました。生物学と言ってもいろいろな分野がありますが、当時の大阪大学理学部生物学科の教育方針は、生物現象を化学や物理学の理論や言葉を使って説明するということでした。私はこの生物学科の学生として、教養2年生の時には、細胞生物学のほかに化学熱力学と有機化学と物理学の講義を受けました。実習としては、生物学実習のほかに化学実習、物理学実習があって、希望すれば地学実習が受講できました。学部3年生の時は、生物物理化学や代謝生理化学や放射線生物学や反応速度論やサイトクロームに関する講義などのほかは、ほとんどの講義は化学科の同級生と一緒で、物理化学、コロイド化学、高分子化学、教養課程からの有機化学や量子力学などの講義がありました。学部3年の生物学実習は生物学教室の各研究室の研究テーマの紹介が中心でしたが、夏休み前までは物理化学実習があってベンゼンの再結晶による精製とベンゼン溶液の凝固点降下や、水溶液の密度の測定や、pH-緩衝溶液の測定や、電池の起電力の測定などの物理化学に関する実習でした。私はもともと化学が得意でしたが、このような教育を通して、私は次第に生物現象を物理化学的に研究する道を歩むようになっていったのです。具体的には、私が学部4年生の卒業研究から大学院の時まで所属した研究室の、教授や助教授や助手の方々や大学院の先輩の方々の影響が強くありますが、いつの間にか自然と浸透圧や電気生理学的な研究に興味を持って行ったのです。特にその中で、大学院修士課程2年生の時には、生物物理若手夏の学校の当番校の一つとして、Hodgkin and Huxley (1952)の論文を輪読したことはその後の私の研究者としての歩みに大きな影響を与えたことでした。Hodgkin and Huxley (1952)の論文は難解で、大学院修士2年生の私の英語の読解力ではよくは理解できませんでしたが、夏の学校の校長を務められた高木雅行さんと副校長の大川和秋君が、Hodgkin and Huxley (1952)を含めた論文集を編集・出版してくれたので、現在でも必要な時に見ることができることは非常に有難いことです。