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カテゴリ:自然科学一般(28/29)

細胞膜の界面化学 : 清沢桂太郎 | 学術研究出版





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タイトル: 細胞膜の界面化学

著者: 清沢桂太郎  書店: 学術研究出版 

カテゴリー: 自然科学一般
ページ数: 332
サイズ: A5

特記:

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本の要約

細胞の90%前後は水で、K⁺、Na⁺、Cl⁻などのイオンをかなりの濃度で含んでいる。ですから、細胞は厚さ約10ナノメートルの細胞膜で囲まれた、これらの一種のイオン溶液と見なすことができる。動物細胞でも、植物細胞でも、多くは高濃度のK⁺と低濃度のNa⁺を含み、動物細胞の外液になる体液や海水は、低濃度のK⁺と高濃度のNa⁺から成る。植物細胞では、外液になる池や河川の水は、低濃度のK⁺やNa⁺などから成る。このような状態の中で、神経では細胞膜を挟んで発生している電位が、一過性に変化する興奮という現象が起こる。ある種の植物細胞でも同じような現象が見られる。植物細胞では、細胞膜を挟んでイオンの大きな濃度差があり、細胞膜の外側には機械的に強靭な細胞壁があるために、大きな浸透圧と膨圧が発生している。本書では、細胞膜を舞台にして起こるこのような現象について、物理化学と物理学の法則と言葉を基礎に論じられている。

著者のプロフィール

私が進学した大阪大学理学部生物学科では、生物現象を化学、物理化学、及び物理学の法則と言葉で理解するように指導された。教養課程では、数学、化学熱力学、有機化学、及び物理学の講義があり、物理実習、化学実習、生物実習などがあった。学部では、代謝生理生化学、酵素反応論、分子遺伝学、放射線生物学、細胞生理学などの外に、物理化学、有機化学、コロイド化学、高分子化学などの講義があった。大阪大学大学院理学研究科生理コースに進学してからは、シャジク藻と呼ばれるやや下等な水生植物を用いて、植物の細胞膜に浸透圧差を与えた時に起こる水の体積流を精密に測定する研究で、博士号をいただいた。基礎工学部生物工学科に就職してからは、特に溶液化学や化学熱力学や物理学について独学で学び、細胞膜などの半透膜で発生する浸透圧について、一つの理論体系を構築しようと努力した。

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(1)現在でも、神経興奮に関しては、1952年にホジキンとハックスレーによって発表された学説が信じられている。しかし、1961年以降、神経内部を組成が既知の色々なイオン溶液で潅流する技術が開発されて、ホジキン・ハックスレー(1952)の学説とは異なる結果が発見されてきた。本書では、この問題について、類書よりも詳細に論じている。

(2)水溶液の浸透圧は、凝固点降下から求まることが分っている。しかし、ほとんどの類書はそのプロセスについて明記していない。本書では、そのプロセスを詳細に論じている。

(3)水に水を加えても、凝固点は変化しない。水とは異なる化合物を溶かして初めて、凝固点は降下する。それでは、水に水の同位体である重水を混合したら、凝固点はどうなるのであろうか。本書では、安定同位体の混合溶液の凝固点について、報告している。

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