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カテゴリ:文芸(詩・短歌・俳句)(16/30)

全釈 日蔵夢記 : 菊地 真 | 学術研究出版





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タイトル: 全釈 日蔵夢記

著者: 菊地 真  書店: 学術研究出版 

カテゴリー: 文芸(詩・短歌・俳句)
ページ数: 216
サイズ: A5

特記:

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本の要約

『日蔵夢記』とは、古代に流布しながら、現在では忘れ去られた天神伝説(菅原道真怨霊譚)である。今日伝わっている天神伝説と言えば、、幼少時から神童の誉れ高かった菅原道真が大臣にまで出世したが、政敵にねたまれて左遷される。左遷されても道真は仕えていた醍醐天皇を慕い続け忠実な心を持ち続けつつ没する。その霊魂は善神となり、学問の神として全国津々浦々あがめられた、というものであろう。しかしそれは10世紀、数多くあった伝説群の中の一つであった。他の伝説中、有力であったのが、この『日蔵夢記』で、道真霊は冥界の有力者として現れ、道真に恨まれた醍醐天皇は地獄に堕とされている。醍醐天皇を地獄から救う策を、父の宇多法皇霊や醍醐天皇霊自身が、冥界を訪ねて来た日蔵に語る。日蔵が浄土・地獄等の冥界を巡歴できたのは、信奉する金峯蔵王権現の神通力によるものであった。

『日蔵夢記』は、天神伝説・平安仏教史・山岳修験道研究に関する資料であるにとどまらない。 吉野周辺や京都大沢池周辺の土地に関する記事も数多くあり、地域史研究の有力資料でもある。また規模は小なりと雖も、冥界巡歴譚ということでは、ダンテ『神曲』にも比すべき文学でもある。また平安時代文化として「菅原道真」の占める比重は重く、外国語として日本語を学んでいる学習者には、日本文化の参考書ともなる。

本書は、影印・解説・本文・研究・索引から成る。影印篇では北野天満宮所蔵の永久寺本日蔵夢記の影印と翻刻がある。解説篇には内容・登場人物・舞台・時代背景の概説、文学史的意義、書誌データ、当該文献に関する主な研究文献リストを載せた。本文篇は、三段組みとし、上段に語釈、中段に読み下し本文、下段に口語訳がある。研究篇では翻刻本文を再掲し、校訂本文をつけ、本文語釈の補注をつけた。巻末には索引もある。

このように、読者のニーズに応じて『日蔵夢記』に関する情報が取り出せるように工夫した。始めて『日蔵夢記』に接する読者であれば、解説を一読し本文篇を通読すれば良いし、『日蔵夢記』に関する項目を深く掘り下げたい読者は、研究篇を利用すると良い。当該文献を研究対象としている研究者には、影印・索引篇が役立つであろう。

著者のプロフィール

菊地真(きくち・まこと)

1959年東京都に生まれる。
早稲田大学文学部・北京理工大学外国語学部を経て、現在、カイロ大学文学部教授(外国籍)。平安文学専攻。文学博士(早稲田大学)。

主要著書:
『天神さまの起源』(2000年 共編)
『招き猫の宮』(2004年 共著)
『全釈日蔵夢記』(2019年)