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カテゴリ:文芸(小説・エッセイ・評論)(156/180)

約束の詩 −治まらぬ鼓動− Promised poetry: Never forgettable love : 西川 正孝 | BookWay書店





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タイトル: 約束の詩 −治まらぬ鼓動− Promised poetry: Never forgettable love

著者: 西川 正孝  書店: BookWay書店 

カテゴリー: 文芸(小説・エッセイ・評論)
ページ数: 364
サイズ: 128×188

特記:

電子書籍(1,430円)は BookWay コンテン堂店 でお買い求めください。

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本の要約

〔本文より〕
初めて会って以来一途に思い続け、一時も由布子のことが心から離れなかった…。
〈男子みんなが憧れているあの高嶺の花の由布子が、あのお姫様が、何と、この自分を本当に思っていてくれている。ああ、こんな幸せ、本当にあるのだろうか? 夢ではないだろうか?〉
足が地から浮き上がり、のぼせ上がって有頂天に…。自分のために世界がある…。もう何も怖いものは無い。何でも出来るような不思議な力が湧いてくる。…美しいヒロインを恋人に持つ映画の主人公になったような気分でもある。
どんな言葉を使っても表現し尽くせない心情。決して大袈裟ではない。
こんな満ち足りた幸せが訪れ…高揚する気分になれることも人生にはあるものなのだ…しかも教室で…授業中に…こんな気持ちになれるなんて…学校へ行くのがこれほど楽しいとは…。
晶彦は生まれて初めて、天にも舞い上がるような幸せ感に包まれた。そして、いつまでもこんな気持ちでいられたら…と、祈る思いである。
(中略)
恋うひとに 思われている 幸夢心
(中略)
駅に近付いて、晶彦はハッと一人の女子学生の姿に心を奪われ、視線が彼女を追った。その姿はうららかな陽光を浴びて、人混みとともに駅の中へと消えて行った。晶彦は視線を逸らさず、ただその場に佇んでいた。
出張のことで頭がいっぱいで、一時潜んでいた由布子の存在が、ひょっこり晶彦の心に戻って来た。あの笑顔、明るい声、仕草、そして、教室での彼女など、数々のシーンが、次々と輝き始め、あの至福のステージが蘇ってきたのである。
「どうなさったのですか」
肩を叩く優しい女性の声が聞こえた。
「いえ、何も」
そう応えたものの、同じ所に佇んだまま思いの外、時間は経過していて、目は涙で潤んでいた。最高に幸せな思い出は、最高の辛さにも変わるのである。
いつしか新幹線の窓際のシートに座っていた。晶彦は顔を窓の方を向けている。涙が溢れ出て止まらない。晶彦はまだ、あの至福のステージの中にいた。由布子は咲き始めた花のように、瑞々しいまま微笑んでいる。しかし現実の晶彦の側に、彼女はいないのだ。

髪がたや 似た後ろ影 心を突き
       なお治まらぬ 鼓動…

と、まで詠んだ。しかし、後が定まらない。
悲しくて、切なくて、そして、儚く、空しい思いが入り乱れ、愛しさが止めどなく込み上げてきて、渦を巻いているのである。

著者のプロフィール

昭和21年(1946年)三重県津市生まれ。
昭和40年、大手の電機製品製作会社入社、昭和48年退職。
その後、数社の中小企業勤務、個人で設計事務所・技術コンサルタント・専門校講師等、一貫して、機械関係のエンジニア。

昭和21年(1946年)三重県津市生まれ。
昭和40年、大手の電機製品製作会社入社、昭和48年退職。
その後、数社の中小企業勤務、設計事務所、技術コンサルタント、専門校講師等、一貫して機械関係のエンジニアとして活躍。
著書に『約束の詩 ―治まらぬ鼓動―』『二重奏 ―いつか行く道―』『恋のおばんざい ―天下国家への手紙―』『国家の存続 ―人生方程式―』『国家再生塾』『地磁気発生と磁極逆転の私案』『万有引力発生の私案』『大勝負 難(娚)病を生きる』『万有引力の源 発見!』『青春の結鐘―平安の姫/冷やし襟巻き』『茶道軍師 恋・戦国を生きる 伊勢北畠編、加賀百万石編』がある。