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カテゴリ:文芸(小説・エッセイ・評論)(92/199)

二重奏 −いつか行く道− Life of love: Realize thinking : 西川 正孝 | 風詠社eBooks





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タイトル: 二重奏 −いつか行く道− Life of love: Realize thinking

著者: 西川 正孝  書店: 風詠社eBooks 

カテゴリー: 文芸(小説・エッセイ・評論)
ページ数: 390
サイズ: 128×188

電子書籍 対応機器: pcipadiphoneandroid
形式: ActiBook
特記: Android対応機種

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本の要約

スキー場の山荘はオイルショックのため未完成で、内外装はおろか床は土のまま木くずが散乱している。そんな中で男女は出会い、二人は楽しみを見つけ、正月休みを過ごす。男は大阪、女は名古屋。付き合ううち恋人の親が経営する会社や家が窮地に陥り、男は全てを捨て名古屋に駆けつける。命を賭け、恋人のため会社の再生に尽くす。会社再生後、恋人の兄に会社を託して一人会社を去り自分の道へ進んでいくが、無理を重ねた男は病に倒れ、人生は思わぬ展開へ…。

〔本文より〕
姫が勘助を困らせることをしても、無理を言っても、温かく見守って、報われるあてのない愛をますます募らせてゆく…。
「女性の美しさは、時には男の魂を変えてしまう悩力を持っているんやな…爐里Ν瓩惑困猜の…勘助のあのような愛し方も何だか切なく…ロマンが溢れていて…由布姫の美しさとともに印象に残っているのです。ま、これらの内容は、僕の欲求的想像も手伝って、作品よりドラマチックに記憶している感も強いですが…」
「でも、あなたも由布姫さまに恋しているみたい…私、何だか嫉妬している気分」
(中略)
「写真を撮る人は今のうちに撮っておいて下さい。明日は早立ちします。槍や穂高も朝は日陰になってシルエットだけになりますから…それから、山の名称は左から、西鎌尾根、槍ヶ岳、中岳、南岳、大キレット、北穂高岳、唐沢岳、奧穂高岳、西穂高岳…」
指を差しながら美紀は細かく説明してから、付け加えた。
「ここからは見えませんが、槍ヶ岳の北側には急峻な北鎌尾根、東側には東鎌尾根が有ります…上高地は西穂高岳の山向こうの丁度この方向です」
この時、太陽はほぼ南南西にあって、突き上がった槍の穂先や連山の稜線から続いている数々の尾根、谷、沢のヒダは、色々な陰影を作り、見事な立体感を醸し出しながら急峻な深い谷へ落ち込んでいる。しかし穂高連峰と鏡平の間には標高約二四四〇 メートルの奧丸山や中崎尾根があるので谷底までは見えない。
幸いにも空は青く、稜線との対比も美しい。この連山の稜線や山肌は、大小の岩がむき出しで、大きな起伏が多い。丸みの少ない鋭い岩肌は北アルプスの特徴で、険しい雄姿を誇示し、とりわけ大キレットや北穂高岳はより急峻に見える。ともかく雄大である。
(中略)
「案内した僕が言うのも可笑しいけれど、登山経験が少ない人でも、こんな素晴らしい光景が見られて、北アルプスの真っ直中にいる気分が味わえる所も、そう多くはないのではないかと思う」
「良かったね…無理矢理付いてきて」
皆を見回して良子が言った。
夕刻、太陽は西に近づき、槍から西穂高岳まで、山腹のヒダの陰影は少なくなり、赤っ ぽく様相が変わって、不思議な光景を醸し出し始めた。
(中略)
今回は会社に入って、財務も含んだ経営全般を再構築しなければならない。あの時より遙かに困難である。成功するには自分の考えの元、社員全員が同じ方向に動いてくれなければならない。丁度、作曲しながら、そして演奏もしながら、オーケストラを指揮するするようなもので、よく考えて行動しなければ、不協和音どころか、まとまりがつかなくなる。
幸い社長から全てを任された。問題は新参者の自分を受け入れてくれるかどうかである。自分もそうであるように、能力が低く、ましてや、重しにさえなる指揮官の下では、充分力を発揮出来ない者もいるに違いない。組織の興亡は上に立つ者次第で、間違えば衰退は速い。リーダーの重要性を強く感じている。
更に事は急を要し、まず資金が要る。銀行からの融資…大きな関門が待っている。こんな中、この危機や難問にも、美紀の心は奮い立っていた。
美紀には分を過ぎた欲は無い。彼女がいればそれでよい。愛する彼女のためになら、全てを捧げることができる。その絶好の舞台が与えられたのだ。そう思うと幸せな思いが潮のように満ちてきて、彼の持つロマンの心に激烈な火を付けたのである。
(中略)
「それに、当社のように小規模で、人材は育っていないが、研究開発型の会社を目指すには、天才的人材が必要で、彼がその一人かと思います。会社の根幹については天才が突っ走って、他の者は必死に付いて行けば良い。そうすれば他の者のレベルも上がる。そして皆が工夫して天才を補完する。そうすることによって、皆が潤えると考えています。そのためにも彼を早く磨かなければならないのです」

著者のプロフィール

西川 正孝(にしかわ まさたか)

昭和21年(1946年)三重県生まれ。
昭和40年、大手の電機製品製作会社入社、昭和48年退職。
その後、数社の中小企業勤務、設計事務所、技術コンサルタント、専門校講師等、一貫して機械関係のエンジニアとして活躍。
著書に『約束の詩 −治まらぬ鼓動−』『二重奏 −いつか行く道−』『恋のおばんざい −天下国家への手紙−』『国家の存続 −天下国家への手紙−』『国家再生塾』がある。