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父がいた幻のグライダー歩兵部隊〜詩人竹内浩三と歩んだ筑波からルソンへの道〜 : 藤田 幸雄 | 風詠社eBooks





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タイトル: 父がいた幻のグライダー歩兵部隊〜詩人竹内浩三と歩んだ筑波からルソンへの道〜

著者: 藤田 幸雄  書店: 風詠社eBooks 

カテゴリー: 研究・ノンフィクション
ページ数: 190
サイズ: A5

特記:

電子書籍(440円)は BookWay コンテン堂店 でお買い求めください。

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本の要約

父が第二次大戦時にフィリピンのルソン島に出征したことは、子どもの頃からお風呂の中で何度も何度も聞かされていた。所属したのはグライダーで相手を急襲する空挺特殊部隊だったそうで、先輩方がスマトラ島パレンバンに落下傘で舞い降り大活躍した話に、心を躍らせていた。
そんな日々から半世紀を経た最近、90歳を超えた父が古い水筒を発見したことをきっかけとして、著者はふたたび戦時中のルソン島と向かい合うことになる。
すると父も忘れていたであろう、あるいは一兵士として知るよしもなかったかもしれぬ、驚くべきドラマの数々が姿を現しはじめた。

本書は、「骨のうたう」を遺してルソン島で戦没した詩人として広く知られている、三重県生まれの竹内浩三と著者の父正雄が、同じ部隊写真に写っていたと判明したことが起点となっている。そして空挺部隊兵士たちが遭遇した苛烈なる戦いとその顛末、とりわけ竹内浩三の出征からその戦死までの足取りについて、新資料を次々と発見しながら辿ってゆく、リアルタイムの検証ドキュメンタリーである。
弱冠23歳で命を散らした竹内浩三は、日本を発ってからの動向についての記録がほとんど残されておらず、また彼の所属した部隊についても「全員切り込みを敢行、全滅」と伝えられていた。

―おいおい、一緒にいた部隊が全滅しているのなら、ここにいる俺の親父は何なんだ。どうなっているのだ。(本文より)

巻末に竹内浩三が姉に宛てて送った「筑波日記」に登場する人物の写真や、浩三最後の写真など、貴重な新資料を公開している。

著者のプロフィール

藤田 幸雄(ふじた ゆきお)

昭和33年(1958)大阪市生まれ。筑波大学、同大学院を経て現在、千葉大学教育学部教授(スポーツ科学)、教育学博士。空手道の分野でも選手として1991年国体優勝、1996年準優勝などの戦績を持つ。全日本空手道連盟選手強化コーチ、筑波大学空手道部総監督。「カラテ解剖学」(福昌堂)、「強くなる組手 動きの方程式」(福昌堂)などの著書がある。本文にも登場する兄の靜雄氏は現在、京都大学工学部教授(電子工学)、工学博士。

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 「わしは運がええねん」
 と、父正雄は今でも事あるごとに口にし、ルソン島から生還できたことを深く感謝しつつ、犠牲となった戦友たちを悼んでおります。そんな父の体験を今こそ記録しておこうと始めた今回の調査ですが、所属していた部隊がいかに絶望的な状況に置かれていたのかを、痛感することとなりました。
 思いがけず深いご縁が判明した、竹内浩三さんは父と同い年ですが、その柔軟で鋭い感性には、国を挙げて一斉に戦争に突き進んでゆく、当時の世相に対する強い嫌悪感、そしてあきらめるしかない孤独な無力感が、映し出されていたのだと思います。
 愚かな施政者たちによって一つの方向に誘導されやすいといった側面を持つ、われわれの国民性は昔も今もそれほど変わっていないようで、多様性や批判的な感性を尊重しない土壌には、また同じような悲劇を明日にも繰り返す危険性をはらんでいます。
 竹内浩三ファンの方々だけでなく、当時の浩三たちと近い年齢である若い世代の方々にも、彼らが悲惨な戦地に追いやられた背景とその結末に、思いを馳せて頂きたく思っています。

 この出版に関する資料の確認作業などを通じて、浩三さんの親族の方々と交流を持たせて頂けたのは幸せでした。
 父と彼の運命はまさに紙一重で、入れ替わったかも知れなかったのです。

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