マザー・グースなど童話詩、子供のための詩というジャンルは新しくはないし世界中で多数書かれている。それは知っている。西条八十や北原白秋の「赤い鳥」などは日本の童謡と童話詩を基礎付けた。西条八十の弟子であった金子みすゞ、新川和江にならい、私も新川和江と一緒に子どもたちへのポエムを収録した。日本の童謡・童話詩の伝統継承と新たな出発を目的とする。内容は、日本語と英語版での二人の創作詩のアンソロジーである。新川和江―「おうち」、「お天気がよいので」、「野原のポプラ」、「『火へのオード18』より」他5篇。水崎野里子―「おうち」、「ひまわりへのオード」、「ガンジスの黎明」、「ヒロシマの折り鶴」他5篇。私たちはおかあさんの優しい語りで子どもたちに詩を贈ります。
水崎野里子
Resume
The genre of the children's verses are rather so popular and so productive in the English speaking countries,like“Mother Goose”,whichI know. In Japan,it is the same to us,but I like here in this book to express a special gratitude to the old and traditional legacies of “the Red Birds Magazine”,published in Japan. The leading poets were Yaso Saijyo,Hakusyu Kitahara,etc.They propagated children poems and songs,in the modern ages of Japan. In this book,we,two of us—Kazue Shinkawa & Noriko Mizusaki-- try to receive the tradition and hand it down to the younger generation,with our creative poetry works; like “Home,” ”In a Fine Weather,” and “A Poplar in a Field,” by Kazue,“Home,”Ode to the Sunflower,” and “Down: The Ganges,” by Noriko. We gift poems like mothers talking tales in tender voices,to children and,to you.
Noriko Mizusaki
新川和江詩集:目次
Collected Poems of Kazue Shinkawa : Contents
おうち Your Home
捜す Searching
歌 A Song
お天気がよいので In a Fine Weather
野原のポプラ A Popular in a Field
鬼ごっこ A Tag Game
橋をわたる時 Crossing a Bridge
ちいさな川は A Tiny Stream
『火へのオード18』より From Ode to Fire 18
水崎野里子詩集:目次
Collected Poems of Noriko Mizusaki : Contents
おうち Home
ひまわりへのオード Ode to the Sunflower
夏祭り Summer Festival
ガンジスの黎明 Dawn; The Ganges
お月さま Moon Watching Festival
春 Spring
力一杯走っていこう Go Dash As Hard As You Can
風かざ車ぐるま Windmill in a Toy
かたち Shapes
ヒロシマの折り鶴 Paper Cranes in Hiroshima
新川和江
1929年茨城県結城市生まれ。疎開で結城に滞在していた西条八十に師事。詩風は多様で詩集刊行・受賞歴は多く、現代日本の代表的な詩人である。『ローマの秋・その他』、『土へのオード13』、『火へのオード18』、『水へのオード16』、詩とエッセイ集『詩が生まれるとき』他。代表詩に「私を束ねないで」がある。1983年から1993年まで吉原幸子と共に女性用詩誌「ラ・メール」を刊行・主宰、女性詩人の育成に寄与。子供用の詩集としては、思潮社編現代詩文庫64『新川和江詩集』(1975年)巻末に「幼年・少年詩篇」として、現代詩文庫132『続・新川和江詩集』の巻末に幼年詩集『いっしょけんめい』、『星のお仕事』としてまとめられている。その中の一篇『名づけられた葉』は独立した詩集の題名として出版された。ちなみに師として言及される西条八十は子供用の童謡詩・児童文学を育成した児童用の雑誌「赤い鳥」(1918−1936、大正7年〜昭和11年)ですぐれた童謡を発表した。以降、第二次世界大戦敗北後の日本詩人が辿ったいわゆる「戦後詩」=「現代詩」の高度に難解な思想詩と海外詩(特にフランス詩)の模倣詩風の流れ・受容の歴史と、その中で失われなかった子供用の詩「やさしく語りかける母のお話」の位置は、「赤い鳥」の歴史的な遺産と伝統として現在再評価されるべきである。
水崎野里子
1949年日本、東京生まれ。
詩人、歌人、翻訳者、エッセイスト。夫、息子と共に現在は千葉県船橋市に住む。子供二名(息子。今は二名大人に成長)を育てるかたわら大学講師として若い学生に英語を教えても来た。在米経験あり。同じくアジア人と同時に女性であることの自覚意識を世界のマイノリティの詩文化・連帯へと拡げて来た。夫の国際学会同伴、やがて詩人として英語での詩の発表・スピーチ、海外旅行などの経験は多数。詩はかなりの数の外国語に訳されている。イタリア語、中国語、韓国語など。
2014年に大阪での世界詩人会議・日本大会の会長を歴任。現在はその母体となった団体、国際桂冠詩人協会:Unites Poets Laureate International の副会長。2014年度UPLI桂冠詩人。女性問題・マイノリティへの視野で賞を受けた。英語表記は2014UPLI/Poet Laureate for Women's letters. 日本では隠岐島後鳥羽院和歌大賞。早稲田大学第一文学部卒。大学院修了。
電子本再版翻訳詩集『英米女性五人詩集』(2017年,ブックウエイ)、新・日本現代詩文庫『水崎野里子詩集』(2018年、土曜美術社出版販売刊)、『世界の詩人たちーー水崎野里子翻訳・エッセイ集1998〜2018』(2018年、竹林館):「新川和江論 声を抱く大いなる母性」所収。なお、本書所収の「野原のポプラ」の英訳は 水崎野里子訳でFor a Beautiful Planet (2009, chikurinkan)に初出発表。所属詩誌「PO」他、バイリンガル雑誌「パンドラ」(ブックウエイ刊)主宰。ちなみに水崎野里子は若い時に一時「ラ・メール」の購読者であり新川和江から直接自筆の手紙を拝受した経験がある。のちに東京での現代詩人会の会合でしばしばお目にかかることになった。
英訳:
Kazue Shinkawa(1929-) & Noriko Mizusaki(1949-):Contemporary Woman Poets of Japan, who are supposed to be known most to the international poetry or, the poetry of the world, for now.