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カテゴリ:自然科学一般(26/29)
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タイトル: 環境サイエンス入門 人と自然の持続可能な関係を考える
著者: 大阪産業大学環境理工学科 編 (責任編集 前迫ゆり) 書店:
学術研究出版
カテゴリー: 自然科学一般
ページ数: 378
サイズ: A5
書籍形式
オンデマンド印刷本
2,200円
本の要約
現代ほど人と自然の持続可能な関係が求められている時代はないだろう。この地球上で人間が農耕を開始した頃、大量の水を求めて人々は河川流域に集い、森や川や海から自然の恵みを得て暮らし、その一方、自然の脅威と闘う日々でもあったと想像する。まさに人間は自然とのせめぎ合いと共生のバランスのなかで生命を支え、暮らしてきたのである。
一方、近代文明は自然を壊しながら社会を発展させてきたが、21世紀に入って、地球温暖化、生物多様性や生態系の劣化、水質汚染、土壌汚染、地震・津波などの大規模災害、ゴミ問題およびエネルギー問題など、我々をとりまく環境問題はますます多様かつ複合的なものとなっている。人間が享受してきた自然の恵みを未来につなげ、健全で真に豊かな暮らしを続けるために、今こそ、持続可能な社会を構築する叡智が必要とされている。
本書は、大阪産業大学デザイン工学部環境理工学科の一回生向け教科書として編纂されたものである。本学科は、地域レベルから地球レベルまでさまざまな環境問題の課題解決に向けた行動力、柔軟な思考力および専門性を磨き、自然と共生する持続可能な社会をデザインする人材の育成をめざしている。本学科の学びは、人間と自然、人間と環境、人間と人間、人間とモノがそれぞれ調和的な関係を築き、持続可能な社会を構築するために必要な基礎科学から応用科学までを包括している。そこで本書は現代の多様な環境問題を統合的にとらえ、課題解決のためにアクティブな行動力を育むことをめざした。
ただし現段階では不足している視点や議論すべき課題を残しており、そうした意味において本書は十分なものとはいえない。今後、学生らとともに、教育・研究を通じて持続可能な社会の構築に寄与する環境理工学分野の確立をめざし、さらなる「環境サイエンス」へと発展させていきたい。
さて、本書は大きく4部から構成されている。第1部「自然と地球のサイエンス」では、生態学、水生生物学および地球物理学から地球と地域の自然について概説している。第2部「人と環境」では、生態人類学、環境経済学、社会学から人と自然のつながり、コミュニティや社会構造について、第3部「水・土・緑のテクノロジー」では、水質工学と緑化工学から環境保全の技術とその活用を、第4部「持続可能なまちづくり」では、都市計画、廃棄物計画、環境政策学から、まちづくりの技術・考え方についてそれぞれ概説している。各章は基礎的事項にとどまらず、教員がとりくんでいる教育・研究の成果を盛り込み、読者が興味深く読み進められるような構成としている。長年の研究・思索に基づいたコラム3編も掲載している。多岐にわたる学問領域を統合的にとらえることによって、「人と自然の持続可能な関係」を議論していきたい。
この書籍をどのような順に読み解いてもあらたな発見と興味に出会えるであろう。学生諸君は1回生の教科書としてはもちろんのこと、4年間の学びのなかでさまざまな機会にこの書を紐解き、活用してほしい。すべての読者が、本書によって人と自然の持続可能な関係を未来に向けて築き、考え、行動する一助となることを期待してやまない。
著者のプロフィール
前迫 ゆり はじめに、第1章
教授 学術博士
専門:生態学、植生学
主な著作:編著「世界遺産春日山原始林−照葉樹林とシカをめぐる生態と文化」ナカニシヤ出版、2013年。共編著「シカの脅威と森の未来―シカ柵の有効性と限界」文一総合出版、2015年。
鶴田 哲也 第2章
准教授 博士(水産科学)
専門:保全生物学、魚類生態学
主な著作:分担執筆「トゲウオの自然史−多様性の謎とその保全」北海道大学図書刊行会、2003年。
硲 隆太 第3章
教授 博士(理学)
専門:核物理学、放射線計測
主な著作:共著「CaF2検出器によるダークマターの探索」日本物理学会誌、1998年。共著Measurement of fallout with rain in Hiroshima and several sites in Japan from Fukushima reactor accident」Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 2013年。
佐藤 靖明 第4章
准教授 博士(地域研究)
専門:生態人類学、アフリカ地域研究
主な著作:共編「衣食住からの発見」古今書院、2014年。単著「ウガンダ・バナナの民の生活世界―エスノサイエンスの視座から」松香堂書店、2011年。
川田 美紀 第5章
准教授 博士(人間科学)
専門:環境社会学、地域社会学
主な著作:共著「霞ケ浦の環境と水辺の暮らし」早稲田大学出版部、2010年。共著「都市資源の<むら>的利用と共同管理」農山漁村文化協会、2011年。
花田眞理子 第6章
教授 学術修士(M.A.)
専門:環境経済、環境教育
主な著作:共著「都市のにぎわいと生活の安全」日本評論社、2009年。分担執筆「環境教育辞典」教育出版、2013年。
濱崎 竜英 第7章
教授 博士(人間環境学)
専門:水環境工学、環境分野の国際協力
主な著作:共著「水環境の浄化・改善技術、シーエムシー出版、2004年。単著「ひとりで学べる公害防止管理者試験 水質関係 テキスト&問題集」ナツメ社、2016年。
高浪 龍平 第8章
講師 博士(工学)
専門:環境化学、分析化学
主な著作:共著「排水・汚水処理技術集成」株式会社エヌ・ティー・エス、2013年。共著「水浄化技術の最新動向」シーエムシー出版、2011年。
津野 洋 コラム
京都大学名誉教授 (元 大阪産業大学教授) 工学博士
専門:水質学、水処理学
主な著作:共著「環境衛生工学」共立出版、1995年。共著「水環境基礎科学」コロナ社、1997年。
岡田 準人 第9章
講師 博士(学術)
専門:緑化工学、園芸学
主な著作:共著「立体緑化による環境共生―その方法・技術から実施事例まで」ソフトサイエンス社、2005年。
金澤 成保 コラム
教授 Ph.D.(都市地域計画)
専門:都市計画、都市デザイン、都市文化論
主な著作:編著「風土と都市の環境デザイン」ふくろう出版、2007年。共著「ウッドファースト」藤原書店、2016年。
吉川 耕司 第10章
教授 博士(工学)
専門:都市・交通計画、GIS
主な著作:共著「LRTと持続可能なまちづくり」学芸出版社、2008年。共著「自治体GISの現状と未来」日本工業新聞社、2003年。
塚本 直幸 コラム
教授 博士(工学)
専門:土木計画学、交通工学
主な著作:共著「交通システム」オーム社、2016年。共著「LRTと持続可能なまちづくり」学芸出版社、2008年。
田中みさ子 第11章
准教授 博士(工学)
専門:都市計画、住環境計画
主な著作:共著「商都のコスモロジー ―大阪の空間文化」TBSブリタニカ、1990年。
花嶋 温子 第12章
講師 工学修士
専門:廃棄物計画、環境教育
主な著作:共著「3R・低炭素社会検定公式テキスト(第2版)」ミネルヴァ書房、2014年.共著「3R検定試験問題・最新動向解説集」ミネルヴァ書房、2009年。
石原 肇 第13章
教授 博士(地理学)
専門:環境影響評価・環境政策、地理学
主な著作:共著「土壌・地下水汚染の浄化および修復技術」エヌ・ティー・エス、2008年。共著「地域をさぐる」古今書院、2016年。
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