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カテゴリ:歴史・哲学・地理・宗教(48/65)
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タイトル: 仏教文化 インド・パキスタン・中央アジア
著者: 早田 啓子 書店:
学術研究出版
カテゴリー: 歴史・哲学・地理・宗教
ページ数: 220
サイズ: B5
書籍形式
出版本
3,080円
本の要約
2000年に起きた同時多発テロ以来、世界は政治や経済、社会の混乱そして宗教が生み出す紛争や破壊、戦闘の激化で混迷を極めている。資本主義によるグローバリゼーションと地球環境の中で差別化が進行する。自由競争の中で国家も民族も孤立し、最新兵器を手に取るか、自らの宗教をかざして戦うしかない。資本主義のもたらす問題と宗教の台頭する背景がここにある。
一方、人類史を大掴みにすれば人類が誕生し、農耕が始まり、やがて現代まで続く世界の宗教や思想が起こった。さらに産業革命以来、テクノロジーは加速し今日に至っている。世界の現状をみれば、現代は謂わばその工業化社会の限界点に達しているとはいえないだろうか。
仏教の考え方の根底には、人間は自然の一部であり人間と自然とは対立するものではないとする思想がある。自然を畏れ同時にその恵みに感謝して人間を自然の営みの中に組み入れ、人間はこの大宇宙の中で生かされているという考え方である。仏教が多くの地域に伝搬する中で、人々は自然と対峙し彼らのあらん限りの情熱を傾けて、より良いものへの希求と安堵を願って仏教建造物を表現したはずである。そしてそれはあらゆる芸術の源となってきた。
ガンジス川中流域で興った仏教は時を経て、スリランカ、東南アジア、チベット、パキスタン、中央アジアを経て中国、朝鮮半島、日本へと伝搬していく過程で、その地域や時代の豊かな文化を汲み上げ表現してきた。長い時間軸と広い空間軸をクロスさせた時、仏教思想とその文化の持つ壮大な包容力とダイナミックさに驚かされる。フィールドワークで調査地域に赴く度に、仏教の中心軸を失うことなくその土地の文化と混じり合い脱皮しながら、それらを融合しさらに豊饒の仏教文化を生み出していくさまに長いこと魅せられてきた。
本来、文化とは何であったのか。それは人間にとってこの自然を生き抜く為の創造的な営みであったはずである。人類の叡智を今ほど問われている時はない。新しく始まったばかりの二十一世紀をどのように生きて行くか、筆者は仏教文化研究の原点に立ち、その意義をこのようなところに見出したいと願っている。
まえがきより
著者のプロフィール
長崎県生まれ。早稲田大学大学院修士課程修了。
1994年インド・カルカッタ大学大学院博士課程修了。Ph.D.取得、哲学博士。現在、昭和女子大学准教授。専攻はアジア思想・仏教文化。
著書に、『日本中国 仏教思想とその展開』(共著・山喜房佛書林、1992年)、“Theravada Buddhist Studies in Japan”(単著・Atisha Memorial Publishing Society India 1998年)、『世界宗教建築事典』(共著・東京堂出版、2001年)ほか。
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