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カテゴリ:文芸(小説・エッセイ・評論)(66/180)

九戸戦始末記 北斗英雄伝 第二巻 : 早坂 昇龍 | BookWay書店





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タイトル: 九戸戦始末記 北斗英雄伝 第二巻

著者: 早坂 昇龍  書店: BookWay書店 

カテゴリー: 文芸(小説・エッセイ・評論)
ページ数: 292
サイズ: B6

特記:

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本の要約

本書は、天正19年の「九戸の戦い」を軸に、羽柴秀吉の侵攻に対し、奥州の民がいかに立ち向かったかを記す「不屈と再生」の物語である。
この第2巻では、九戸の戦いにおける「三城攻撃」の周辺事情を取り上げる。「三城攻撃」は九戸の戦いでは、緒戦と受け取られがちであるが、しかし、実質的な開戦が、南部信直による1月の宮野(九戸)城の包囲戦であったとみなせば、この三城攻撃は九戸方による報復攻撃であったと考えることが出来る。この時期の南部信直はあまりにも劣勢であったため、上方の関白秀吉に救援を要請した。
このことは、北奥に住む人々の運命を大きく変えていくことになる。敵は三戸南部ではなく羽柴秀吉となり、奥州の民は抵抗か絶対服従の二者択一を迫られることとなった。

著者のプロフィール

「早坂昇龍」は時代劇でのペンネームで、現代劇では「早坂ノボル」を使用している。岩手県盛岡市生まれ。

HP: http://www.goemonto.rexw.jp/

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 天正19年3月の初め、南部信直はうたた寝から醒め、前の年に小田原で拝謁した秀吉のことを思い出した。秀吉は大そうな勘気の持ち主で、信直の目前で、自らの意に添わぬ侍女を危うく絞め殺すところであった。
「今のままでは関白の不興を買い、改易にされかねぬ」と考えた信直は、北秀愛を呼び出し、九戸党の征伐を重ねて命じた。
 疾風は平八、鶴次郎と共に津軽に向うが、その途中、陽気な相撲取りの山ノ上権太夫が一行に加わる。四人で鹿角に立ち寄ると、そこで大湯四郎左衛門と偶然再会した。そこで、自らの一族の危機を悟った四郎左衛門の頼みで、疾風一行に大湯勘左衛門夫婦らが加わった。

 疾風一行は津軽からの帰路、三戸の伊勢屋を訪れる。伊勢屋では疾風はお晶、平八は若菜という娘を、宮野城まで連れて行くことになった。
 出立の仕度をしているところ、伊勢屋の門前に岩泉兵部が現れる。岩泉兵部は元々、東孫六という名で、東一族の者である。疾風は孫六と立会い、勝負に勝つが、命は取らずそのまま返した。

 一戸城では城主の一戸図書が、家臣たちに、この後、政実に与することを告げ、「残る者は残り、去るべき者は去れ」と命じる。
 この命に応じ、城の外に出た者の中には、三戸から派遣されていた小平左近がいた。小平左近は田子に集結する三戸軍中の兄・月館隠岐に報じるべく、馬を駆る。
 北郡の七戸家国のもとには、天魔源左衛門により、政実が三戸南部に宣戦布告したことが報じられた。嚆矢(開戦を告げる鏑矢)は、まさにこの時放たれたのであった。

 一戸を脱した小平左近は田子にいた兄・月館隠岐に事態を報告した。隠岐は南部信直に一戸奪還の重要性を説き、攻略軍の指揮権を与えられた。
 3月13日には、まず七戸家国が羽立館にいた津村伝右衛門を攻め、この館を落とした。津村は伝法寺館に移り、防戦に努める。篭城のまま夜に至り、津村が城を出て血路を開こうとした時、七戸軍は包囲を解き、撤収した。
 同日、櫛引清長は西進を開始し、高橋館を落とし、苫米地館を包囲した。苫米地館主の苫米地因幡は降伏をせず徹底抗戦を決意する。乱戦の中、櫛引勢は突如として兵を退き去ってゆく。
 五戸又重館には、九戸実親が騎馬二百をもって説得に赴いたが、館主の木村伊勢は政実の鎧を身に着けた実親を恐れるあまり、話し合いに応じず突如、攻撃を開始した。
 この三城攻撃の報せが届くと、鳥海にいた三戸軍は直ちに一戸城を包囲する。城内に手引きする者があり、一戸図書が落命し、城は三戸の手中に落ちた。
 九戸政実は七戸家国に一戸奪還を命じ、自らは疾風や天魔源左衛門(卍)らを従え、密かに鳥海の南部信直の元を訪れる。自陣内に政実が現れるとは思ってもみなかった信直は、心の底から仰天した。
 天正19年3月15日の朝、南部信直は、突如として鳥海古城を出発し、三戸に向け撤退を始めた。七戸家国は一戸城を包囲し、工藤右馬之助に北秀愛を狙撃させる。翌3月16日、宮野城では軍議が開かれ、政実は上方を発した鉄砲輸送隊を、志和で襲撃することを命じる。
 一方、日戸館に戻った疾風は主の内膳に対し、三戸方に加わるべきことを進言しつつ、自らは配下を脱し、九戸方に参じることを申し出た。内膳は、葛姫を娶ることと、玉山重光(常陸)を悩ます鬼を退治すること、の2つを条件に疾風の離脱を認めた。
 疾風一行は、玉山小次郎の案内で鬼の棲む山に登るが、そこにいたのは鬼ではなく、雛にも稀な美女であった。疾風はこの女人を「仙鬼」と名づけ、六人目の仲間として迎え入れる。

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