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カテゴリ:歴史・哲学・地理・宗教(7/16)

古代東北アジア史の復元 辰国残映 ―日本国の源流が見えてきた― : 安部 裕治 | BookWay書店





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タイトル: 古代東北アジア史の復元 辰国残映 ―日本国の源流が見えてきた―

著者: 安部 裕治  書店: BookWay書店 

カテゴリー: 歴史・哲学・地理・宗教
ページ数: 650
サイズ: B5

書籍形式








 


本の要約

太古の中国に発祥した辰国は、前一千年紀に亘って燕山山脈の南→燕山山脈の北→遼西→遼東→朝鮮半島という経路を辿って移動し、鏡と銅剣に代表される特徴的な青銅器文化を開花させました。倭とは弥生中期初頭に時の辰王家であった 「安冕辰沄(あめしう)氏」の分派が北部九州に建てた国です。「韓」〔の語〕は本来、辰国の領地を意味する普通名詞であり、南部朝鮮半島(朝鮮半島南半部)を指す固有名詞ではありません。かつて南部朝鮮半島に韓族という種族は存在しませんでした。南部朝鮮半島は多くの日本人の祖先となった人々の故地であり、百済・新羅の東北アジア系騎馬民勢力の南下侵入を許す迄、濊族や孔列文土器人〔の流れを汲む集団〕や「辰族」や倭人などのフィールド(活動領域)でした。古代朝鮮半島の文化をなんでも今日の朝鮮民族の祖先の文化とするのは誤りです。細形銅剣を代表とする朝鮮半島の東北アジア系青銅器文化は「安冕辰沄氏」の辰国の文化であり、日本人の祖先となった人々の文化です。また、古代の朝鮮半島から渡来して日本人の祖先となった人々を今日の朝鮮民族と同系とするのも誤りです。朝鮮民族の形成要素が朝鮮半島に出揃うのは、百済や新羅の後を追って高句麗が南下する紀元4世紀を待たねばならず、その形成が本格化するのは統一新羅の成立(676)を受けての紀元8世紀以降となります。「白村江の戦い」(663)を境に朝鮮半島の均質化(標準化)が進み、朝鮮半島は次第に朝鮮民族の国となっていきます。中国正史に記述された紀元3世紀以前の古韓の歴史は辰国の歴史であり、日本人の祖先となった人々の歴史であるといえるのではないでしょうか。そう理解すると、『魏志』や『後漢書』の韓伝に記述された古韓の文化や習俗は、もっと身近に感じられるはずです。辰国精神文化の神髄ともいえる「鏡:日神体(かかみ)」を「日神(かか)」の御神体とする祭儀は脈々と受け継がれ、我が国においては今日なお、その流れを汲む祭祀が奉斎され、人々の暮らしと心情に深く根ざしています。日本は辰国の遺風を伝える唯一の国であり、日本人の精神文化において、辰国はその残映を鮮やかに放ち続けているといえましょう。

著者のプロフィール

安部裕治(あべ・ゆうじ)

1951年生まれ。
1973年北海道大学農学部農業経済学科卒業。

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本書の主題は、太古の中国に発祥したと考定される辰国の移動の軌跡を、文献資料および考古学の成果をもとに素描することにありますが、副産物として古代東北アジア史の通説のいくつかに変更を迫る仮説が提示されています。とりわけ、楽浪郡治は当初、古朝鮮の領域であった遼河平野南西部(北西部・東部は遼東郡の管轄)に置かれ、後漢の安帝の時代(106〜125)に北部朝鮮半島の大同江流域に移動したとの仮説はその白眉と言えましょう。この仮説は、『魏志』韓伝が引く『魏略』の廉斯(れんし)の鑡(さく)の逸話とも見事に契合します。さらに、単単大領を千山山脈に擬定でき、第一玄菟郡治の置かれた沃沮の地理的範囲を〔その大半が高句麗の領域となった〕渾(ホン)江流域を中心とする鴨緑江北岸支流域および鴨緑江北岸部に擬定できることから、楽浪郡「領東七県」は遼東半島南岸部から大同江流域にかけての範囲に置かれたとの理解に繋がり、『魏志』東沃沮伝の新たな解釈をも可能にしました。

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